フリーランスとして働くと、通常は国民年金に加入することが義務付けられていますが、会社員のように厚生年金に加入することは一般的にはできません。しかし、フリーランスでも一定の条件を満たせば、厚生年金に加入することが可能です。この記事では、フリーランスが厚生年金に加入するための条件や、加入するメリットについて詳しく解説します。
厚生年金とは?フリーランスが通常加入できない理由
厚生年金は、主に会社員や公務員が加入する公的年金制度で、会社が保険料の半分を負担する仕組みです。これに対して、フリーランスや自営業者は原則として国民年金のみが対象となり、厚生年金には加入できません。その理由は、厚生年金が「被用者保険」であるからです。
厚生年金の基本仕組み:厚生年金は、企業に雇用される被用者が対象で、労働者と雇用主が保険料を折半して支払います。厚生年金に加入していると、老後に受け取る年金額が国民年金だけの場合に比べて大幅に増えるのが特徴です。
フリーランスが厚生年金に加入できない理由:フリーランスや自営業者は、企業に雇用されていないため、会社員のように保険料を折半する仕組みがないため、通常は厚生年金には加入できません。
しかし、特定の条件を満たす場合、フリーランスでも厚生年金に加入できるケースがあります。
フリーランスが厚生年金に加入できる条件
フリーランスでも、法人化して役員として報酬を得る場合や、複数の業務を掛け持ちする場合など、特定の条件下で厚生年金に加入できる可能性があります。以下に、具体的な条件を紹介します。
法人化して役員報酬を得る場合:フリーランスが自身の事業を法人化し、会社の代表取締役や役員として報酬を得ている場合は、法人の「被用者」として扱われるため、厚生年金に加入することができます。法人化することで、社会保険(厚生年金と健康保険)の適用対象となり、将来的に国民年金のみよりも手厚い年金を受け取ることが可能になります。
兼業で会社員として働く場合:フリーランスとしての仕事を続けながら、別の会社でパートタイムや正社員として勤務し、週に30時間以上働いている場合、会社での労働時間が一定以上であれば、その会社での雇用に基づいて厚生年金に加入することができます。この場合、フリーランスの仕事の収入と会社での給与収入が両立できるため、厚生年金の恩恵を受けられます。
短時間労働者でも適用される場合:2016年からの法改正により、一定の条件を満たした短時間労働者(週に20時間以上働くパートタイム社員など)も、厚生年金に加入できるようになりました。フリーランスが一時的にパートタイムで働く場合でも、厚生年金に加入できる可能性があります。
これらの条件を満たすことで、フリーランスでも厚生年金に加入し、老後の年金受給額を増やすことができます。
厚生年金に加入するメリットと注意点
フリーランスが厚生年金に加入するメリットは、老後に受け取る年金額の増加だけではありません。健康保険や他の社会保障制度にも関係し、総合的なメリットがあるため、加入を検討する価値があります。
老後の年金額が増加する:国民年金だけに比べて、厚生年金に加入している場合は、老後に受け取る年金が大幅に増えます。厚生年金は、報酬に応じて支払う保険料が決まるため、高い報酬を得ているほど年金額も増えます。
健康保険や介護保険の恩恵:厚生年金に加入することで、健康保険も併せて加入することが一般的です。これにより、医療費の負担が減り、さらに介護保険の適用も受けられるため、老後の生活に安心が生まれます。
保険料の負担が重くなる可能性もある:一方で、厚生年金に加入すると、保険料の負担が国民年金に比べて高くなる可能性があります。特に、法人化して自分自身で保険料を支払う場合は、会社員時代に比べて負担が大きく感じるかもしれません。事前に支払い計画を立てることが重要です。
この記事のまとめ
フリーランスとして働いていても、一定の条件を満たせば厚生年金に加入することが可能です。法人化して役員報酬を得る場合や、会社員としてパートタイムや正社員として勤務する場合、厚生年金の適用対象となります。厚生年金に加入することで、老後の年金受給額が増加し、健康保険や介護保険の恩恵を受けることも可能です。ただし、保険料の負担が大きくなる可能性があるため、計画的に加入を検討することが重要です。将来の安心を確保するために、自分に合った選択肢を見つけましょう。