フリーランスとして働く場合、年金の仕組みについての理解は非常に重要です。会社員は厚生年金に加入していますが、フリーランスは国民年金のみで老後の生活を支えることになります。そのため、早い段階で年金制度について知識を深め、適切な対策を取ることが求められます。この記事では、フリーランスが知っておくべき年金の基本的な仕組みと、老後の資金を安定させるための方法を解説します。
国民年金と厚生年金の違い
年金制度には、主に国民年金と厚生年金の2つの仕組みが存在します。フリーランスとして働く場合、会社員とは異なり、国民年金のみの加入となります。まずは、この2つの年金制度の違いを理解しておくことが大切です。
国民年金：日本に住む20歳から60歳までのすべての人が加入する基礎的な年金制度です。フリーランスや自営業者はこの国民年金に加入し、毎月一定額の保険料を支払います。2024年度の国民年金保険料は月額16,610円です。この国民年金によって、将来的に老齢基礎年金が支給されますが、その額は満額でも年間約80万円程度となり、老後の生活を支えるには十分とは言えません。
厚生年金：会社員や公務員が加入する年金制度です。厚生年金は、国民年金に上乗せされる形で給付され、会社が保険料を半分負担します。厚生年金に加入している人は、将来、基礎年金に加えてさらに多くの年金を受け取ることができます。しかし、フリーランスはこの厚生年金に加入することができないため、将来的な年金額は会社員よりも少なくなる傾向があります。
フリーランスとしては、国民年金のみを頼りにするのではなく、他の方法で老後資金を補完する対策を考える必要があります。
フリーランスが年金を補完する方法
フリーランスは、国民年金だけで老後の生活を支えることは難しいため、追加の資金対策を講じることが重要です。以下は、フリーランスが年金を補完するための代表的な方法です。
iDeCo（個人型確定拠出年金）：フリーランスでも利用できる老後資金の積み立て制度として、iDeCoがあります。iDeCoは自分で掛け金を積み立て、老後にその資金を受け取る仕組みです。掛け金は全額所得控除となり、節税効果も期待できます。iDeCoでは、自分のリスク許容度に応じて、定期預金や投資信託など、さまざまな金融商品に投資できるため、資産運用をしながら老後資金を形成することが可能です。
国民年金基金：フリーランスや自営業者が加入できる「国民年金基金」は、国民年金の上乗せ給付を目的とした制度です。毎月一定の掛け金を支払い、将来、年金として受け取ることができます。厚生年金のように老後の給付額を増やすために、フリーランスにとって有効な選択肢となります。
積立型の生命保険や民間年金保険：民間の保険会社が提供する積立型の生命保険や年金保険も、老後の資金対策として活用できます。一定の保険料を積み立て、老後に年金形式で受け取ることができるため、リスク分散を図りつつ、将来的な資金を確保する手段として有効です。
これらの補完的な制度や商品を活用することで、国民年金だけでは足りない老後資金をカバーし、安定した生活を送るための準備が整えられます。
年金未納のリスクと対策
フリーランスとして働いていると、収入が不安定になりやすいため、年金保険料の支払いが滞ることがあるかもしれません。しかし、年金を未納のままにしておくと、将来の年金受給に大きな影響を与えるリスクがあります。
年金未納のリスク：国民年金を支払わないままでいると、老後に受け取れる年金が減額される、または全く受け取れない可能性があります。また、年金保険料の未納が長期間続くと、強制徴収の対象になることもあります。未納を放置してしまうと、将来的に大きな経済的な不安を抱えることになります。
免除制度の活用：収入が少ない時期には、年金保険料の免除や猶予制度を活用しましょう。所得が一定以下の場合、保険料の全額または一部が免除される「保険料免除制度」や、30歳未満の場合は「若年者納付猶予制度」を利用することができます。これらの制度を利用して、未納期間をなくし、将来の年金受給権を確保しましょう。
年金を滞納しないためには、計画的な支払いと免除制度の活用が不可欠です。経済的に厳しい時期でも、将来のために適切な対応を取ることが重要です。
この記事のまとめ
フリーランスは、国民年金のみで老後を支えることは難しいため、早めに年金の仕組みを理解し、適切な対策を講じることが必要です。国民年金に加え、iDeCoや国民年金基金などの補完的な制度を活用し、老後の生活資金を計画的に準備しましょう。また、年金未納のリスクを避けるために、収入が少ない時期には免除制度を活用し、将来の年金受給権を確保することが重要です。フリーランスとして働きながら、安心して老後を迎えられるよう、今から計画的な資金準備を進めましょう。
